日本人の食卓は日本人が守る!

来週末から田植え準備パート2のため再び横浜から奈良ファームに帰省します。6月の田植えまでには3回帰省することになります。

今回は苗代の作業が中心ですね。まあまあ大変な作業ではありますが、家族一丸となれるので楽しみでもあります。両親も「勝則が帰ってきたで!」と喜んでくれます。ちょっとした辰巳家恒例の一大イベントです。

実は明治・大正・昭和初期の辰巳家は地域を束ねる大規模農家でした。戦時下に入り、今は亡き、ひいじいちゃんは「近衛兵」として天皇陛下に仕えます。しかし、戦争に負けた後は農地解放でGHQにより解体され、現在は2ヘクタールの小規模農家です。

当時は理不尽で「悔しい思いもした」と聞きます。先祖の「無念を晴らす」と言ったら大袈裟ですが、これから離農によって休耕地となる田畑は出来る限り弊社「奈良のお米」が参入したいと考えています。そして、歴史ある美味しい奈良のお米を「日本全国に供給できれば」と考えています。

令和の米騒動について

さて、世間ではお米の価格について賑わっていますね。ご存知の通りお米に関してはここ何十年もの間は「買い手市場」でした。現在はたまたま「売り手市場」です。こういうのは生まれて初めてのこと。

備蓄米の90%以上をJA関連が落札していることから考えても、結論から言うと農水省とJAが価格が暴落しないよう調整する施策を取っているのでしょう。その上で卸売業者がスポット取引で価格が上がってしまっている。そうなってしまうとスーパーに届くころには4,000円代後半となる。

私も農家の端くれですし、そもそも小さな会社の事業主なので「何をやっているのか」は容易に予測できます。

配送担当:辰巳勝則
擁護するつもりはありませんが、JAのおかげでこれまで安くお米が買えていたことを国民は理解しないといけないでしょうね。JAに文句を言いたいのは我々のような小規模農家です。JAが農家からお米を安く買い上げてきたおかげで安く流通できていた訳ですからね。国民が安いお米を求めれば求めるほど結果的に農家は苦境に立たされるのです。

お米の価格に関してはインフレ率を考慮しても昔は現在以上の価値がありました。その代わり機械化が進んでいなかったので、朝から晩まで農作業でした。※ひいじいちゃんの時代までです。

現在は機械化が進んだため朝から晩までということはありません。デメリットとしてお金がかかるようになっただけの話です。昔かかっていた人件費が機械設備に代わっただけの話ですね。

ちなみに、2ヘクタールのお米を生産するのにどれだけの労働時間を要するのでしょうか。答えは草刈り等の細かな作業を含め、おおよそ「800時間」です。8時間労働だとすると100日間という計算です。「意外と楽かも!」と考える方も多いでしょう。

現実を言うと親父の代からは農業一本ではやっていけないため兼業農家です。機械化が進んで楽になったとはいえ、農機具も倍以上に高騰しているからね。トラクターひとつ取っても新車のスカイラインが買えるという、、、(苦笑)

お米の価格に対する農家の本音

お米の価格については現在の経費から考えても粗利ベースで5キロ3000円くらいなら(機械が壊れない限り)トントンでやっていける計算です。2000円台前半なら赤字です。よって人件費を含めるなら「5キロ4000円が妥当」だということです。

うちのような「産地直送サービス」ならまだ良いのですが、販路のない「JA頼み」の農家だったら更に大赤字です。

配送担当:辰巳勝則
弊社ブランド「奈良のお米」は農薬使用量を極力抑えて栽培したお米です。そこをアピールしても「5キロ2500円」では大手通販やスーパーには太刀打ちできなかったのです。よって、安価な価格設定で販売してきたというのがここ15年間の歩みなのです。

実際に「産地直送サービス」を始める2010年までは大赤字でしたからね。先祖代々の土地を守るためだけに正業や親父の年金で赤字を埋めていたのです。今はたまたまのバブルでしょうか。このような状況でも農業離れが加速しているからね。要するに高齢化で後継ぎがいないのです。

私的にはチャンスと捉えていますけど。。

これからの農業は「大規模集約型」で考えた方が良いでしょうね。その方がコストも下げられます。昔の辰巳家がそうであったように。まだまだこれからですね。

日本人の食卓は日本人が守らないと!

2025年度産の販売について

2025年のお米の価格は今のところ決めかねています。

今年度に関してJAは1俵(玄米60キロ)あたり「2万5千円~3万円」の買取価格を提示してくると予測しています。この価格は2024年以前の倍近い価格です。おそらくスーパー等には玄米30キロ「2万円」で流通することになると思います。少なく見積もっても白米5キロ「3800円+消費税」で販売される計算です。

ちなみに2023年のJA買取価格は1俵(玄米60キロ)あたり「12000円」でした。「これではやっていけない」ということで、この年を境に我々の地域も離農が加速しました。ここ十年に関して言うなら、何がしらの農機具が故障した時点で新しい農機具が買えず廃業されているケースが多いです。

このような状況になることを予測し「ならのお米」は2010年以降「JA卸し」から撤退しているのです。すべては一日でも長く「農業を存続させるため」です。晩年は生まれ故郷に恩返しするべく休耕地を再び開拓しながら農業をベースに地域貢献したい所存です。

これからも微力ではありますがお客さまの食卓と日本の食糧自給率UPに向けて、0.1ミリでも良いので貢献したいと考えています。

最後に、

今年度(今年度に限るとは思いますが)の販売価格は「転売リスク」を考えても大幅に上げることになるでしょう。現時点でも一番安く販売している契約のレストランへの卸値が白米30キロで15000円ですからね。※長年のお付き合いがあるのでこの価格です。

来年以降どこかのタイミングで落ち着くこととは思いますが、2025年度産の販売価格へのご理解とご協力、何卒よろしくお願いいたします。

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